部門賞

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第92期 (2014年度)流体工学部門 部門賞

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部門賞


瀬戸口 俊明(佐賀大学)

受賞理由:

 長年にわたり流体工学分野の教育と研究に従事し,多くの技術者の育成と流体工学の発展に多大な功績があった.特に,衝撃波挙動の物理的解釈や波力発電用タービンの最適設計法において顕著な業績を挙げた.

受賞のコメント:

 この度は、流体工学部門の栄えある部門賞を受賞させていただくことになり、ありがとうございました。これまでに、研究者の道に導き下さいました恩師の先生方、共に研究を推進してきた多くの友人、同僚と学生諸子、ならびに本賞の推薦および審査をして下さいました皆様に心より深く感謝申し上げます。

 工業高等専門学校では研究らしき経験を、大学編入後と大学院では圧縮性流体に関連する研究をさせていただきました。その後、縁あって大学に奉職させていただき、引き続き、圧縮性流体に関連する要素研究と、新たにターボ機械の研究に従事することになりました。前者に関しては、主として、相変化現象を伴う超音速ノズル流れ、パルス波特性の解明とその制御法、衝撃波の制御法、推進システムの流動制御、パルスジェットエンジン、流れ場のヒステリシス現象、マイクロチューブ内流れ、超音速エゼクター流れ、高速飛翔体挙動などの研究に取り組んでまいりました。現在は、高圧水素の充填やその質量流量計に関する研究をしております。次に、ターボ機械の研究では、主として波力発電用の往復流型空気タービンの開発に従事してまいりました。このタービンは、軸流速度が常に変化し、さらにその流れの方向も変化する状況下で、常に同方向に回転することが求められるものです。約20年以上の研究期間において、さまざまなタービンの起動および作動特性を明らかにし、現時点で、波力発電用空気タービンとして最適なものを提案できたと思っております。

 一連の研究生活を通しての反省点としては、自己の能力不足のためですが、社会に貢献できた研究成果が少ないことです。今後は、この賞を励みにして、有益な研究成果が得られるよう一層努力してまいる所存であります。

 最後に、再度の謝辞となりますが、私の研究生活の基盤を築いて下さいました恩師の先生方、東京農工大学の故東野文男先生、九州大学の故生井武文・松尾一泰先生・井上雅弘先生、佐賀大学の金子賢二先生に厚く御礼申し上げます。

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姫野 龍太郎(理化学研究所)

受賞理由:

 長年にわたり流体工学分野の研究に従事し,多くの技術者の育成と流体工学の発展に多大な功績があった.特に,計算流体力学の発展と実用化において顕著な業績を挙げた.また,部門長として流体工学部門の発展に多大なる貢献をした.

受賞のコメント:

 この度は,流体工学部門賞という大変名誉な賞をいただき,光栄に存じます.
私は大学では電気工学を専攻し、修士課程を終了して日産自動車㈱に入社しました。日産自動車では流体の数値解析を担当することになり、独学で流体力学を学びました。当時は理想流体の数値解析から始めたので、電磁場と同じ方程式を解くこととなり、それほどの違和感無く進められたのは幸いでした.しかし、Moin とKimのエポックメイキングな乱流計算を知り、独力でこの分野の研究を進める事は不可能だと悟りました。そこで、1984年当時宇宙科学研究所にNASA AMES研究所から戻って来た桑原邦郎先生の元に、日産自動車から研究員として派遣してもらい、桑原先生の元で数値流体力学の研究をさせていただきました。その後の2年間、宇宙科学研究所で桑原先生に指導していただいたことが、今の私を形作っています。本当に深く感謝しています。また、このような機会を作っていただいた日産自動車、特に上司だった高木通俊氏にも感謝しております。その後は日産自動車に戻り、車のいろいろな流体の問題に数値流体力学を使って結果を出して行くことができました。この時、藤谷克郎氏と佐藤早苗さんには大変お世話になりました。お二人がいなければ、とても結果は出せませんでした。深く感謝しております。

  転機が来たのは理化学研究所の戎崎俊一主任卦研究員との出会いです。彼と話をしている中で、当時横浜ベイスターズにいた浜の大魔神、佐々木主浩投手の投げるフォークボールが、なぜ変化するのか、という話題になりました。これをきっかけに、日産自動車にいながら野球ボールの周りの流れを計算する事になりました。今から考えると、こんなことを良く許してくれた、と当時の太っ腹な対応に本当に感謝しています。結果的に、この計算の縁で理化学研究所に移る事になりました。

  理化学研究所では野球ボールの変化球の計算とともに、電気通信大学の宮嵜武教授とともに実験的な研究も進めて来ています。さらに血流の解析等、人体の力学的なシミュレーションを行っています。

 私自身が数値流体力学の興隆のただ中にいて、大変幸せな研究生活を送れたことから、次の世代の人たちに夢をもたらす事ができる、世界最速となるスーパーコピュータの開発を2004年に提唱しました。それが2006年1月から開始し、スーパーコピュータ京に結実した次世代スーパーコンピュータ開発プロジェクトです。今はこの後継のプロジェクトが進められています。私自身は本受賞を契機にさらなる高みを目指し,流体工学の発展に少しでも貢献していきたいと思っています。しかしながら、この機会に次の世代を担う若い方々に、私のような流体力学の門外漢が、流体工学部門賞を受ける事ができるようになった経緯を知っていただき、これらのスーパーコンピュータを駆使して新しい計算に挑戦され、画期的な結果を出す事を祈念しております。

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福富 純一郎(徳島大学)

受賞理由:

 長年にわたり流体工学分野の教育と研究に従事し,多くの技術者の育成と流体工学の発展に多大な功績があった.特に,ターボ機械の高性能化に関する研究において顕著な業績を挙げた.

 受賞のコメント:

 この度、栄誉ある日本機械学会流体工学部門賞を賜りまして、誠に光栄に存じます。教育・研究の道にお導きいただきました恩師、学会・研 究会・共同研究等を通じてさまざまなご指導をいただきました諸先生・先輩方、一緒に研究を推進してきました学生の皆様、そしてこの度、ご推薦くださいました皆様方に厚くお礼申し上げます。

 徳島大学工学部を卒業後、当時、流体機械研究を推進していました渡部孝教授(故徳島大学名誉教授)、中瀬敬之助教授(平成15年ご逝去、元徳島大学教授)のもと徳島大学工学部機械工学科助手として採用され、両先生そして桑内忠昭技術職員の温かいご指導を賜りながら40年にわたり教育・研究・管理運営に携わり、本年(平成26年)3月に無事定年退職致しました。

 研究生活のスタートがオイルショックの時期と重なり、自然エネルギーの利用が叫ばれた時でもあり、水車、風車などの自然の流体エネル ギー利用のためのターボ機械の研究開発をスタートさせました。小水力・マイクロ水力エネルギー利用としてクロスフロー水車、ポンプ逆転水車の研究開発を行い、オイルショック後のクリーンな自然の流体エネルギー利用に取り組みました。その後、クロスフロー型羽根車をターボ機械分野に展開した研究を行い往復流中で一定方向に回転する波力・潮力用クロスフロー水車の開発、クロスフローファンの内部流れの制御による高性能化、高性能小型クロスフロー風車の開発を推進しました。また、その他、ターボ機械の内部流れの解明とそれに基づく性能向上に関する研究開発に取り組み、企業との多くの共同研究を通して、ターボ送風機 ケーシング内の圧力回復機構の解明、最適化と逆解法を組み合わせた斜流ポンプの設計法の開発、ら旋状新型羽根車を用いた高効率・高通過性汚水用ポンプの開発等を行ってきました。今後も微力ながら何かの形で流体工学分野の発展に寄与していきたいと思います。

 大気と水を代表とするさまざまな流体に囲まれて生活する私達にとって、流体に関する力学的・工学的知識をさらに深め、それを環境保全や エネルギー問題、健康や医療分野、そして安心・安全な日々の生活に役立てることは将来に亘って極めて重要なことであり、流体工学分野の工学に占める位置づけは今後ますます重要になるでしょう。流体工学部門の更なる発展を心からお祈りいたします。

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佐田富 道雄(熊本大学)

受賞理由:

 長年にわたり流体工学分野の教育と研究に従事し,多くの技術者の育成と流体工学の発展に多大な功績があった.特に,気液二相流現象の解明とその工学的応用において顕著な業績を挙げた.

受賞のコメント:

 この度は,栄えある流体工学部門賞をいただき,誠に光栄に存じます.ご推薦いただきました皆様,育てていただきました諸先生方,並びに近くで支えて下さいました研究室の先生や卒業生・修了生諸氏,研究費をサポートしていただきました企業等の皆様に,深く御礼申し上げます.

 受賞対象は気液二相流に関する研究ですが,私は気液二相流に限らず様々な混相流の研究を行ってまいりました.混相流は機械工学では流体工学,動力エネルギー,熱工学,環境工学などの部門と関わっており,他にも原子力工学,化学工学,土木工学などの他学会とも関わっています.このため,他部門や他学会の講演会に出ることもあり,流体工学部門の皆様には私をご存知ではない方も多数おられるのではないかと危惧します.にもかかわらず,流体工学部門賞をいただけるというのは申し訳ない限りです.部門にもっと貢献するようにとのお励ましと受け止め,これからも微力を尽くさせていただきます.

 流体工学は,世界的に見ても重要なエネルギーや環境問題の解決に深く関わっており,将来的にも魅力のある研究分野であると思われます.最後になりますが,若手の皆様には学生および社会に出て間もなくの頃の研究対象にとどまらずに,幅広い専門性を持つ方との交流を進めて,是非,新しい課題にチャレンジしてご活躍いただきますよう,宜しくお願い致します.

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望月 修(東洋大学)

受賞理由:

 長年にわたり流体工学分野の教育と研究に従事し,多くの技術者の育成と流体工学の発展に多大な功績があった.特に,流体音工学や生物流体工学に関する研究において顕著な業績を挙げた.

受賞のコメント:

 この度は,流体工学部門賞という大変名誉な賞を賜り,誠に光栄に存じます.これまで私を教育・研究の道に導いて頂いた恩師,共に研究に取り組んできた先輩,同僚や後輩,並びに研究推進に多大な協力をして頂いた多くの教え子の皆様に心より感謝申し上げます.また,ご推薦下さいました皆様,ご尽力いただきました学会関係者の皆様に御礼申し上げます.

 私は,昭和57年(1982年)に北海道大学大学院工学研究科機械工学第二専攻博士後期課程において角に沿う3次元境界層の乱流遷移に関する実験研究を行いました.この時熱線プローブおよび熱線流速計を自作し,風洞内に設置した手作りモデル上に発達する3次元境界層の速度分布計測を行いました.データ処理するコンピュータも含め実験道具は全て手作りという姿勢をこの時体得いたしました.大学院修了後,名古屋工業大学工学部計測工学科の助手となり渦輪の実験的研究,対流の数値計算研究を行いました.渦輪が乱流の要素だという考え方,数値計算が実験装置に相当することを知り,これらも私の研究姿勢に大きな影響を与えました.昭和60年(1985年)に再び北大に戻り平成14年(2002年)まで講師,助教授時代を過ごしました.この間,はく離流れ,空力音,水滴・気泡,非定常流体力などに関する実験および数値計算研究を行いました.私が興味を持っているのはいろいろな干渉問題であることに気がつきました.平成11年(1999年)に大病で入院・手術を体験したとき,自分は流体屋でありながら体のこと特に体の循環機能について何も知らないことに気がつきました.このため,平成14年(2002年)に東洋大学に移ってから,生物・生体に関する流体問題に取り組みました.生物・生体といっても特別視することなく,従来の手法で研究に取り組んでいます.工学的には金属表面に沿う流れを扱ってきたものが,いま生体材料表面に沿う流れを扱っています.流れは材料の違いをわかっているのだろうか?というのが大きなテーマとなっています.幸い東洋大学で私の宝と言える弟子達が育ち,研究を通じた教育の大事さを覚り,やっと私は教育職に就いている者の喜びを実感いたしました.

 「工学は愛である」をモットーに研究室の学生達と日々議論することが楽しい毎日となっています.そんな折の受賞で,これを機にさらに流体工学の発展に少しでも貢献していきたいと思っています.皆様,今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます.

更新日:2015.4.6