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第101期 部門長からのメッセージ


第101期
流体工学部門長
三菱重工業(株)

茨木誠一

 この度、第101期(2023年度)流体工学部門の部門長を仰せつかりました三菱重工業(株)の茨木です。伝統ある流体工学部門の部門長を務めることとなり、身の引き締まる思いです。就任にあたりご挨拶を申し上げます。

 この3年間、COVID-19の世界的な感染拡大に伴い我々の生活も一変しました。外出自粛など行動が制限され、対面でのコミュニケーションは減少し、不自由な生活を余儀なくされました。経済活動への影響も大きく、サプライチェーンの混乱、寸断により生産活動も停滞し、景気も低迷しました。一方でテレワークやオンライン会議の普及など新しい働き方、IT・デジタル技術の活用が一気に進みました。また、COVID-19の先の世界をただ元に戻すのではなく、より良い世界に復興させようとの機運が高まり、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた脱炭素化の取り組みも加速し、研究開発の方向性も脱炭素化に大きくシフトしたように思います。

 COVID-19 にようやく終息の兆しが見える中、ウクライナ危機は世界平和に暗い影を落とすだけでなく、エネルギー、食糧供給の危機も招き、各国のエネルギー、経済安全政策の見直しが迫られました。特にエネルギー自給率の低い我が国においては、エネルギーの安定確保とエネルギー価格の高騰に対応した省エネ化を強力に推進する必要があります。

 さて、日本機械学会流体工学部門においては昨年9月に富山大学で開催された2022年度年次大会、11月に熊本大学で開催された流体工学部門講演会でようやく対面開催が再開されましたが、これまで部門内の委員長・幹事会などはオンライン開催を強いられ、貴重な交流、懇親の機会が減少したことは寂しい限りでした。一方で、オンライン化により講習会の参加者が増えるなど、新たなメリットも得られ、今後のWithコロナ・Postコロナの社会では対面、オンラインの双方を活かした活動が望まれます。また、世界が一斉に動き出したカーボンニュートラルの実現には、エネルギーの供給と需要の両面に関わりの深い流体工学の果たす役割は益々重要になると思います。さらに地球温暖化に伴う自然災害の激甚化に対する災害予測やインフラのレジリエンス化に関しても、流体工学の貢献が期待されます。しかしながら、カーボンニュートラルは様々なソリューションとその組合せが求められる複雑な課題であり、流体工学に加えて、熱工学、環境工学、バイオエンジニアリング、エンジンシステムなど他部門との連携、ひいては他学会との連携による学際的な取り組み、産学官の連携が不可欠です。流体工学部門も日本機械学会の代表部門として、カーボンニュートラルの達成に向けた分野連携、産学官連携の場を提供できればと思います。

 日本機械学会および流体工学部門の課題の一つが会員の減少です。流体工学部門は日本機械学会の会員30,967名(2023年3月末)に対して部門登録者5,956名(1位~5位登録まで、2023年3月末)と22部門の中で最大です。しかしながら、会員数は年々減少し、ここ3年間は毎年約3%ずつ減少している状況です。企業出身の部門長として、約半数を占める企業会員にとっても魅力ある流体工学部門とし、会員の減少に歯止めをかけるような活動も提案したいと思っています。部門長任期の1年間では多くのことはできませんが、今後に繋がる活動のきっかけを作りたいと考えています。

 さて、COVID-19 の制約が緩和され、今年度はオンラインも活用しながら、これまで3年間控えてきた対面での交流を増やして部門内の交流、議論を深めたいと思います。また、第100期の宮川部門長、第99期の山本部門長が進めてこられました部門間連携にも引き続き取り組みます。本年度は4年毎に日米韓で持ち回り開催されるASME-JSME-KSME流体工学国際会議(AJK FED2023)が7月に大阪で開催されます。実行委員会と連携して本会を成功させたいと思いますので、皆様のご参加、ご協力をお願いいたします。

 最後に第101期は渡部正夫副部門長(北海道大学)、深潟康二技術委員長(慶応大学)、中吉嗣総務委員長(明治大学)、津田伸一広報委員長(九州大学)、坪倉誠英文J編集委員長(神戸大学)、技術委員会所属のWGは塚原隆裕講演会WG主査(東京理科大学)、佐々木壮一講習会WG主査(長崎大学)、木上洋一学術表彰WG主査(佐賀大学)の体制で運営いたします。不慣れな部門長ではありますが、頼もしい先生方にご支援いただきながら運営して参りますので、皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

更新日:2023.5.12