部門賞

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第82期(2004年度)流体工学部門 部門賞

● 東 恒雄 教授 (大阪市立大学)
● 笠木伸英 教授 (東京大学)
● 梶昭次郎 教授 (帝京大学)
● 速水 洋 教授 (九州大学)
● 蒔田秀治 教授 (豊橋技術科学大学)

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部門賞

東 恒雄 教授(大阪市立大学)
授与式の写真

受賞理由:
  放射状自由液膜流,特にその遷移問題に関して,高度な流れの可視化技術を駆使した独創的な研究を行い,この分野の研究を先導した.また,流体工学部門主催の市民フォーラム「小学生向けスポーツ講演会」の実行委員長としてフォーラムを大成功に導くなど,流体工学分野の社会的啓蒙活動に多大な功績があった.

受賞のコメント:
  「えーっ,私が!?」
  部門賞贈賞の連絡を受けたときの率直な感想です.
  若いころから心的現象や社会構造における「秩序と無秩序」に深い興味を持っていた私には,そして30歳を過ぎて流体工学分野の研究を志した私には,液膜流れの乱流遷移に出会えたことがきわめて幸運でした.現象の素直な観察が新しい展開に結びつき,楽しみながら納得のいくまで実験してその成果をいくつかの論文にまとめることができました.研究室の若い先生や学生たちの協力がたよりでした.学会や懇話会や研究会で多くの先生方と討論しあえたことも支えになりました.
  「小学生向けスポーツ講演会」では,部門講演会実行委員会の席で出されたテーマを,準備の楽しさを独り占めにして最後まで突っ走ってしまいました.私のわがままを許し,助言を与えてくださった実行委員の先生方に感謝しています.そして講演会が成功であったとしたら,それは興味深い話題で子供たちを魅了した講師や司会の先生方のお力だと思っています.いま思い返しても,楽しい貴重な経験でした.
  現役もあと少し.部門にどの程度のお返しができるか分かりませんが,部門賞に恥じないように生きていきたいと思っています.

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部門賞

笠木 伸英 教授(東京大学)

受賞理由:
  流れ制御の先端的分野である MEMS の研究に積極的に挑戦し,応用に未来を拓く実験的および理論的な基礎研究により,本手法の今後の発展にとって有用な多くの知見を得た.また国際的に高く評価される顕著な業績をあげ,流体工学分野の発展に多大な功績があった.

受賞のコメント:「部門賞を受賞して」
  部門賞をいただき,誠に光栄に存じます.これまでの流体工学に関する研究成果を評価して頂き,有難うございました.一緒に研究に参加してくれた仲間や教え子と共に喜びを分かち合いたいと思います.
  小生は,大学院時代に乱流熱伝達をテーマとして研究を始めましたが,伝熱やエネルギーに関する研究と併行して乱流研究を進めるに連れて,乱流自体の不思議さや魅力に惹かれる一方,その力学機構や構造に関して十分な知識がなければきちんとした予測や制御はできないと考えるようになりました.1980年代に入りコンピュータの発達と共に,直接数値シミュレーション(DNS)や3次元粒子画像流速計(3D PTV)といった新しい手法を当時の大学院生の人たちと一緒に開発し,それらを駆使して研究を進められたことは大きな前進でした.乱流物理,モデリング・数値予測,そして制御と,時間の経過と共に研究が広がり,最近はマイクロセンサやマイクロアクチュエータを開発応用して,噴流の混合促進,壁乱流の抵抗低減を目的とした流れ制御を目指してきました.また,小さなデバイスに触れるようになったことがきっかけで,再生医療のためのマイクロセルソータや分散モバイルエネルギーとしてのマイクロSOFCなどの研究も始めました.流体工学分野において,これらの基礎研究を続けられたことを大いに恵まれたことと感じています.
  これまで機械学会では流体,熱,動力エネルギー,あるいは計算力学などの分野で部門を意識せず活動してきましたが,流体工学部門の皆様にはいつも親しく接していただき,応援していただいたことを大変有り難く存じております.この場を借りて厚く御礼申し上げますと共に,今後とも機械工学・機械技術の発展のために微力を尽くしたいと思いますので,どうぞよろしくお願い申し上げます.

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部門賞

梶 昭次郎 教授(帝京大学)
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受賞理由:
  ターボジェットエンジンの高速内部流,特に空力弾性や空力音響,並びに,超音速燃焼ラム(スクラム)ジェットエンジンの内部流と燃焼に関する研究に従事し,特に翼列フラッタに関する論文を多数投稿された.また,流体工学部門研究会 A-TS05-02 「流力騒音研究会」の主査としても流体工学分野の発展に多大な功績があった.

受賞のコメント:
  このたび日本機械学会流体工学部門から部門賞を頂戴することになり,大変光栄に存じます.この機会に機械学会との関わりにおいて自分の研究を振り返ってみたいと思います. 
  私が大学院に進学した当時,東京大学工学部航空学科および同宇宙航空研究所の原動機関係のグループでは,八田桂三教授,岡崎卓郎教授を中心にジェットエンジンの中核をなすターボ機械翼列の非定常問題や,エンジンの空力騒音問題について鋭意研究がなされていました.翼列の非定常問題とは,翼列フラッタ,旋回失速,サージングといった流体振動現象であり,空力騒音関係ではジェット騒音や円柱列から発生する流体関連自励音等が研究対象になっていました.私が機械学会で最初に講演発表した研究も翼列フラッタに及ぼす流体の圧縮性に関する論文でした.当時は計算機で流れ場を計算するという数値流体力学の概念はなく,また,非定常流の取り扱い自身も流体工学において決して主流でない状況でした.問題を解決するには,現象の的確なモデル化と現象の物理的意味に対する深い洞察力が必須であり,この考え方は輪講会を通じて徹底的に叩き込まれたものでした.   
  一方,航空の世界では,民間航空機の運用が拡大されると同時に,エンジンには燃料経済性の良いターボファンエンジンが導入され,空港騒音としてはジェット騒音よりもむしろファン騒音が問題視されるようになっていました.私の学位論文はエンジン翼列によるファン騒音の発生や音波と翼列の干渉に関するものでしたが,このような理論解析を世界に先駆けて発表できたことは幸運であり,この研究に対して機械学会論文賞を頂戴することもできました.流体騒音は公害意識の高まりと共に機械産業分野で広く重視されるようになり,学会誌の解説記事や講習会等でも何度か役割を担当させて頂きました.現在も流体工学部門所属の流力騒音研究会で年1度のシンポジウムを開催し,同分野の発展に心掛けているところです. 
  「研究とは漫画である」という言葉は,新聞等の風刺漫画で似顔絵が写真よりも鋭く政治家の特徴を捉えているように,研究も現象の本質を的確に浮かび上がらせることにこそ醍醐味があるのだとの意味でしょう.今後どれ程計算機の能力が向上しようとも,現象の物理的意味の把握やモデル化の重要性は決して目減りするものではないということを,私なりにこれからも若い人達に伝えて行きたいと思っています.

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速水 洋 教授(九州大学)
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受賞理由:
  先端的流動計測技術に関する一連の研究を行い,特にL2FおよびPIVにより流体機械内部などの複雑な流れの計測に成功し,この分野の研究を先導した. また,流体工学部門の発展に多大な功績があった.

受賞のコメント:
  この度は82期流体工学部門賞を受賞することになり,大変光栄に存じております.まずはご推薦いただいた関係各位に感謝申し上げます. 
  遷音速遠心圧縮機内流れ計測のために始めたL2F(レーザ2焦点流速計)開発は四半世紀前に遡ります.元祖Shodlとの出会いが大いなる進展をもたらしてくれました.羽根車内流れ計測に加えて,火炎流れ場計測にもうまく活用できました.PIV(粒子画像流速法)に関しては,ある研究会への参画と回転する羽根車の軸に取り付けたビデオカメラ画像データ活用がうまくマッチして,PIVへの展開が始まりました.PIVがL2Fに取って代わって遷音速遠心圧縮機の内部流れ,羽根車内流れのみならずディフューザにおける動静翼干渉流れ計測へうまく適用できたときは感激でした.これらの成果は当然一人でなしえるものではなく,博士課程,修士課程の学生諸氏ならびに共同研究者の尽力によるところが大きいわけで,この場をお借りして感謝申し上げます.PIVはさらに発展して,現在プロジェクトを展開中です.
  学会および部門の活動についてはいろいろ担当する機会に恵まれました.多くの方々にいろいろな場面,場所でお世話になりました.皆様のご支援のおかげで楽しくやらせていただきました.ありがとうございました.今後も,この受賞を通過点として,また,これを励みに,研究および部門活動に少しでも貢献できればと存じます.

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蒔田 秀治 教授(豊橋技術科学大学)
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受賞理由:
  乱流現象を解明するための風洞実験装置および熱線風速計を数々開発し,各種乱流に関する厳密な基礎データを蓄積し,乱流の研究を通じて流体工学分野の発展に多大な貢献をした.

受賞のコメント:
  この度は,思いもかけず流体工学部門部門賞を頂けるとの報に接し,身にあまる光栄と存じました.日頃,風洞実験の面白さとその技術を若い研究者の方々に伝えることができたらと思い,研究を続けてきたものにとって,この様な賞を受賞できることを心から嬉しく思います.
  私の研究室では,乱流研究における実験手法上の問題点を十分に考慮した上で,実験装置や計測・解析方法などを工夫し,観察したい現象をできるだけ理想的な形で風洞中に実現し,そこから乱流運動の本質を純粋な形で抽出し,新しい概念の構築に資することを目的として研究を続けてまいりました.
  私が豊橋技術科学大学に職を得て,風洞実験を中心とした乱流場の実験的研究を始めた当初は,各種の基本的乱流場に人為的な擾乱を与え,その中で発達する複雑な流体運動のメカニズムの特徴をより明確に抽出するという「乱流制御」の可能性や,また,乱流場にランダムな撹乱を与えて励起することによって風洞中に「大規模乱流場」を実現し,それを用いて乱流統計理論の検証や,大気乱流場の実験的シミュレーションを行なう必要があるといった提言は,まだ一般的には受け入れられませんでした.
  それらの結果を最初に評価してくださったのも,本学会でした.さらに,このたび部門賞を頂けることになりましたのは,その間,多くの方々にご支援を頂いたお陰と思っております.これを期に,今後も乱流研究の発展のために微力をつくしたいと考えております.
  最後に,推薦者および関係者各位に心から御礼申し上げます.

更新日:2004.12.8