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機械工学年鑑「流体工学」(2016年版)

まえがき

 流体工学は機械工学を支える基礎的な学問の一角をなし,発電,動力,輸送機器,電子・精密機器,医療,生体など多岐にわたる分野にかかわっている.ここでは,乱流,噴流,圧縮性流れ,混相流,キャビテーション,燃焼流,流体音,流体機械,自然エネルギーの利用,生体・生物流れ,流体計測・可視化を取り上げて,2015 年における研究動向を示す.

 乱流の節では,高レイノルズ数の乱流現象自体を解明する研究と,それから得られた知見を利用して工学的・工業的に望ましい方向に乱流を制御するための研究が紹介されている.噴流の節では,噴流の渦構造制御による混合の促進,噴流による流れの制御,および壁面噴流に関する研究が紹介されている.圧縮性流れの節では,衝撃波を伴う超音速流れ,圧縮性流れにおける流体制御,および高速鉄道列車に関連した研究などが紹介されている.混相流の節では,主な学術論文誌と国際会議における我が国の研究者による発表について紹介されている.キャビテーションの節では,気泡力学や流体機械など翼周りのキャビテーションとともに,医療分野および材料改質への応用,マイクロ・ナノスケールのキャビテーションに関する研究が紹介されている.燃焼流の節では,高速燃焼流についてDDT(Deflagration- to-Detonation Transition)とその応用としてのデトネーションエンジンに関する研究が紹介されている.流体音の節では,非定常流動現象と音響現象の数値解析と実験解析,騒音の低減化,および流体機械の音響に関する研究などが紹介されている.流体機械の節では,ポンプや水力発電などの水力機械,ならびに圧縮機や送風機などの空気機械に関する研究が紹介されている.自然エネルギーの利用の節では,海洋エネルギーを中心にして開発の動向が紹介されている.生体・生物流れの節では,衝撃波の再生医工学への応用として衝撃波の力学的刺激による細胞の時間的変化,昆虫や鳥類の飛翔時の流れ場に関する研究などが紹介されている.流体計測・可視化の節では,感圧塗料(PSP: Pressure Sensitive Paint)による圧力計測,高速流れ場の計測法として,分子をトレーサとした分子タグ流速測定法(MTV: Molecular Tagging Velocimetry)およびBOS (Background-Oriented Schlieren)による密度測定法に関する研究が紹介されている.

〔古川 雅人 九州大学〕

 機械工学年鑑「流体工学」(2016年版)は,流体工学の分野において2015年1月から12月までの1年間に発行・出版された論文,解説,さらに技術の発展や動向を解説したものです.

機械工学年鑑「流体工学」2016年版(PDF)

更新日:2018.1.11