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「第20回流れのふしぎ展」実施報告

吉武 裕美子(長岡技術科学大学)

 8月12(火)13日(水),日本科学未来館にて日本機械学会流体工学部門主催,神奈川工科大学共催「第20回流れのふしぎ展」を開催いたしました.2日間で約3000人もの方々の来場があり,例年に勝る大盛会となりました.「流れのふしぎから未来がみえてくる」をテーマとして,科学教室,体験型展示,科学講演,ウィンドカーコンテストを実施しました.身の回りの流れに関するふしぎな世界を見て,さわって,遊ぶことで,子供から大人まで「えっ!?」と驚くような発見をして,そのなぞを解き明かそうというものです.最新のAR技術を取り入れ,スタッフTシャツや展示パネルをスマートフォンやタブレットのアプリでスキャンすると,記念撮影や展示物の詳細な説明を楽しむことができ,会場の至る所で携帯電話を片手に解説を聞き入る親御さんの姿がとても印象的でした.またデジタルマネキンによる会場紹介もあり,まさに「未来」を感じることのできる会となりました.楽しい流れの実験教室では168名もの参加者.今年で最後の開催となるウィンドカーコンテストでは奇抜なアイデアを取り入れたウィンドカーなど96台のエントリーがあり大盛況でした.

<科学教室>

○教員・科学ボランティアのための研修会
 研修会では,小・中・高校教員,科学ボランティア,教職課程学生等を対象とした流れに関わる原理や応用例について,石綿良三教授(神奈川工科大学)を講師として研修会が開かれました.たくさんの実験教材が配布され,その教材を基にやさしい解説を交えながら,身の回りの流れに関わる現象のホントorウソ!?を紹介しました.早くこの教材を試してみたい!と目を輝かせている参加者の顔が印象的でした.

○楽しい流れの実験教室
 ストローで吹いてあやつる発泡スチロール製の「雪だるま」のおもちゃ作成や、数々のデモ実験教室などを行いました.作製したおもちゃはご家庭や学校でも実験できるように授業後お持ち帰り頂きました.参加者は小中校生の参加が多く,付き添いのご父母も楽しまれていました.


【ストローで吹いてあやつる雪だるま作成の様子】

<体験型展示>

 11種類の空気や水の流れを利用したおもちゃや遊びの展示を,スタンプラリー形式で実施しました.多くの小中学生やカップルでブースは賑わい,順番待ちができるほどの大盛況ぶりでした.子供たちが体験する隣では,スタッフの説明に熱心に聞き入る親御さんの姿が続いていました.ドライヤーの風でボールをあやつり障害物をクリアしていく「ボールの散歩」,同じくドライヤーの風を利用した「ボールの封じ込め」,ボールの回転を利用して直接ゴールをねらう「コーナーキック」,終端速度と同じ速さで下から気流を吹かし,水滴が空中に浮かんでふしぎな動きをする「雨滴」,カップを回転させてフワッと飛ばす「マグナスカップ」,回転しないようにボールを飛ばしボールの後ろの不規則な渦でボールに変化が起こる「無回転シュート」など,直接触って感じて楽しめる実験体験型ブースとなっています.各ブースでは,スタッフによる遊び方の説明やパネルを使って現象の解説が行われ,終了時間ギリギリまで,楽しく遊ぶ多くの幼稚園生や小学生の姿がみられました.


【ボールの封じ込め】


【マグナスカップ】

<科学講演>

 科学講演では,「ロケット・飛行機!スーパーパワーのテクノロジー!!」(本江 幹朗先生,JAXA),「地球のふしぎな流れ -海や空の流れを視る-」(松岡 大祐先生,海洋研究開発機構))と題して,2つの興味深い講演が行われ,会場は大人だけでなく多くの小中学生を含む110名の聴講者がありました.スーパーカーやママチャリに○個分と例えられたロケットの出力の大きさ,地球の空気の流れをメッシュで区切って計算するスーパーコンピューターの能力,その計算の複雑さに,みなさんとても驚かれていました.来るときよりも好奇心で輝いた顔で帰っていくお子さんの姿が印象的でした.

<ウィンドカーコンテスト>

 第20回記念大会となるウィンドカーコンテストには,レーシング部門に70台,パフォーマンス部門には26台のエントリーがありました.
 会場内にコース長さ3m,走路内風速約3m/sの風洞を用意し,その中を参加者オリジナルのウィンドカーでタイムを競うレーシング部門では,小学生の部(20組がエントリー),小学生以上の一般の部(50組がエントリー)に分かれてそれぞれ予選を行い,上位8名が決勝トーナメントへと進みました.小学生の部であっても4秒台の好タイムが続出し,一般の部決勝トーナメントへも小学生2名が参加を果たしました.一般の部決勝トーナメントでは予選で3.35秒の最も速いタイムを出した優勝候補が一回戦でまさかの転倒!などのハプニングもあり,大変見ごたえのある戦いとなりました.小学生の部では木村 朱里さん,一般の部では斎藤 拓弥さんが優勝しました.木村朱里さんは一般の部でも3位に入る好走でした.


【勢いよくスタートしたウィンドカー】


【レーシング部門小学生の部 受賞者の皆さん】


【レーシング部門一般の部 受賞者の皆さん】

 パフォーマンス部門では往復走行中に”あっ”と驚くような模型のパフォーマンスの楽しさとアイデアを競いました.どのようにリターンをするか,ギアを切り替えたり,コースと同じ長さの糸を使ったり,面白いアイデアがたくさんありました.ジュニアの部ベストデザイン賞にはタイヤに「20周年おめでとう!」の文字が仕掛けられていた木村朱里さんのウィンドカー,ユーモア賞にはカエルのような動きをした木村成孝さんのウィンドカーが選ばれました.一般の部では,ベストデザイン賞にはシャンシャンと鈴を鳴らしながら進む清水 凱人さんのウィンドカーが,ユーモア賞にはねこが鉄棒をしながら進んだ佐藤 裕紀さんのウィンドカーが,特別賞にはリターンはできたものの後一歩でゴールできなかった宮坂 貴大さんのウィンドカーが選ばれました.また,日本風力エネルギー学会賞が青木 広太郎さん,小林 義行さんに贈られました.小林さんはこれまでにも何度もウィンドカーコンテストに出場しては,みんながあっと言うアイデアで優勝をさらっていった達人.今回は虫のような不思議な動きをする面白いウィンドカーで参戦,会場の皆さんから大きな歓声が上がりました.第20回記念大会に相応しい大会となりました.


【不思議な動きをするウィンドカー】


【パフォーマンス部門 受賞者の皆さん】

<最後に>

開催に際して,日本機械学会流体工学部門特定事業資金,日本機械学会機械工学振興事業資金,神奈川工科大学からそれぞれ助成金を頂くとともに,多くの機関・団体から後援・協賛を頂きました.さらに,独立行政法人日本学術振興会から科学研究費(課題番号260025)の助成を頂きました.開催までの準備と会期中の運営に当たっては,大学教員(神奈川工科大学,群馬大学,東北大学,東洋大学,長岡技術科学大学,海洋研究開発機構)の15名,学生(神奈川工科大学,東洋大学,東海大学)50名,卒業生(神奈川工科大学)8名,一般ボランティア8名,総員81名の献身的な協力に支えられました.これら,多大なる助成とご協力に深く感謝の意を表します.


【スタッフ集合写真】

更新日:2014.10.16