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第8回流れの夢コンテスト 報告

実行委員長 松村 昌典 (北見工業大学)
幹事  坪倉 誠 (北海道大学)

 2001年に第1回目が開催された流体工学部門主催の「流れの夢コンテスト」は,今年で8回目を迎え,2008年10月13日にかでる2.7(札幌市)にて開催されました.例年,本コンテストは部門講演会に合わせて開催されてきましたが,今年は部門講演会が開催されないため,第7回日韓熱流体会議に合わせた日程と会場になりました.今年のテーマは「夢と魔法の教材」とし,流れの不思議な・面白い現象を,夢のある手法で,あるいは驚きの仕掛けを用いて解説する教材を全国の高専,大学,大学院等の学生を対象に募集いたしました.今回は参加者の多くにとって遠方の札幌開催であることや,学生から見ると部門講演会に比べて敷居の高い国際会議に合わせた日程であることなどから,当初から応募数の減少が危惧されておりました.実際のところ,応募〆切日のお昼頃までの申込み件数は4件と少なく,本気でコンテスト開催を危ぶみ,ハラハラしておりました.しかし〆切日の18:00を過ぎたあたりからポツポツと申込みをいただき,深夜には10件を超え,ようやく安堵いたしました.最終的には道内の学生の奮起もあり,全部で14件の申込み(道内6件,道外8件)をいただき,盛況にコンテストを実施することができました.応募して下さった学生の皆様や,学生をご指導された関係教職員の皆様に,この場をお借りして感謝申し上げます.

  コンテストは,作品の一般公開(展示・デモ),プレゼン,特別講演,表彰式,懇親会の順に実施されました.一般公開では,機械学会員だけでなく,日韓熱流体会議に参加される海外の研究者や,小学生を含む一般市民も見学に訪れ,コンテスト参加者は昼食を取る暇もなく説明に奮闘していた様子でした.3時間半の一般公開時間中におよそ100人程度の見学者があったものと思われます.見学に来て下さった方々に,心よりお礼申し上げます.

作品展示会場の様子

 プレゼンでは,コンテスト参加者に作品の趣旨,見どころ,工夫した点などを発表していただきました.発表者は皆,自信に満ちて堂々としており,それぞれの作品が,本当によく考えられて作られていることがよく分かりました.しかし一般公開時には,思い通りにうまくは作動しなかったケースもあり,物づくりの難しさを肌で感じた参加者もいたのではないでしょうか.

  特別講演では,北海道工業大学名誉教授の豊田国昭先生に,「地球と人類を救う流れ学 -流れ学のすすめ-」という演題でご講演いただきました.緊急課題である環境問題の解決には,流体工学の知識が必要であることを強く強調してお話し下さいました.たいへん壮大なスケールのお話でしたが,身近な具体例をたくさん挙げて説明して下さいましたので,非常にわかりやすく,学生の流体工学を学ぶモチベーションは大きく刺激されたものと思われます.

プレゼン会場の様子 特別講演

 コンテストの審査は,2段階方式で行われました.すなわち一次審査では,一般公開時にご来場いただいた見学者に,アンケート形式で各作品を評価していただき,その結果に基づいて上位3件を選出しました.引き続き二次審査として,実行委員会委員,広報委員会委員および北海道地区流体工学研究会委員から成る審査委員会を開催し,この上位3件の中から,特に驚きと感動を与えた作品を投票で選出し,これを「一樹賞」といたしました.残り2件につきましては,一次審査の得点の高い順に「最優秀賞」,「優秀賞」といたしました.またこの上位3件を除く作品の中で,一次審査項目のアイデアに関する評価が最も高い作品を「アイデア賞」,夢を感じさせる評価が最も高い作品を「ドリーム賞」といたしました.受賞作品は以下の通りです.

★ 一樹賞:(賞状,クリスタル製楯,図書カード3万円分)
  「剥離を学ぶとウキウキしてくる」 北見工業大学
★ 最優秀賞:(賞状,クリスタル製楯,図書カード3万円分)
  「バッティングあわ~」 北海道大学
★ 優秀賞:(賞状,図書カード2万円分)
  「流体力学的札幌市」 北海道大学
★ アイデア賞:(賞状,図書カード1万円分)
  「癒しフラッタ」 首都大学東京
★ ドリーム賞:(賞状,図書カード1万円分)
  「FLUID ART」 東京工業大学

 今回は地の利を得たのか,北海道内の作品が上位3賞を独占してしまいました.これら受賞作品以外にも,すばらしい作品は多く,参加者のユニークな発想と惜しみない努力に敬意を表します.表彰式では,後藤部門長から各受賞者に,賞状と副賞が授与されました.

  表彰式に引き続き,コンテスト参加者や関係者が集い,懇親会が開催されました.後藤部門長に乾杯の音頭を取っていただいたあと,参加者同士で健闘を讃えながら労をねぎらい,楽しく歓談いたしました.会の途中では受賞者に感想を述べていただき,最後に実行委員長の言葉でお開きとなりました.

  本コンテストを支えているのは,参加学生の情熱とそれをご指導されている先生方であることはもちろんですが,コンテストの趣旨にご賛同いただき,資金的なご支援をいただいている企業様の存在も多大です.今回は,株式会社IHI,株式会社荏原総合研究所,株式会社エルテックス,株式会社電業社機械製作所,日機装株式会社,株式会社日立製作所,マツダ株式会社,三菱重工株式会社の8社様からご支援をいただきました.この場をお借りして厚くお礼申し上げます.また今回の会場は第7回日韓熱流体工学会議の会場の一部をお借りしました.快く会場をお貸し下さった同会議実行委員会にお礼申し上げます.さらに本コンテストは,機械工学振興事業資金および北海道支部共催事業からの援助を受けておりますので,ここに付記してお礼申し上げます.

  次回の「第9回流れの夢コンテスト」は,部門講演会に合わせて2009年11月7日に名古屋工業大学で開催される予定です.実行委員長は長田孝二先生(名古屋大学),幹事は久保貴先生 (名古屋大学)で,テーマは「流れと遊ぶ,美しさと力を求めて」となるそうです.多数の参加と更なる発展を期待しております.

★ 一樹賞 ★

剥離を学ぶとウキウキしてくる

北見工業大学: 五十嵐暁春,山田久善, 西村基,冨森健太,中村太一,片桐直希,
坂本修一,鶏内智英,射號津誠一

日機装(株)殿のご発案により設置された賞であり,最も創造的・独創的なアイデアを提案し,驚きと感動を与えてくれた作品に対して授与いたしました.一樹(いちじゅ)とは,荘子に登場する大樹の話に由来するもので,「こまごまとしたことにとらわれるな,小鳥に鳳凰の心はわからない」という解釈に基づいております.第7回から制定されている賞であり,副賞として多摩美術大学元教授の川上顕治郎氏デザインによるクリスタル製楯と賞品3万円(図書カード)を贈呈いたしました.

 

★ 最優秀賞 ★

バッティングあわ~

北海道大学: 南部優一,吉本貴弘, 山保敏幸,村井祐一

最も創造的・独創的なアイデアを提案し,設定課題に対して非常に高い評価を受けた作品に対して授与いたしました.副賞として多摩美術大学元教授の川上顕治郎氏デザインによるクリスタル製楯と賞品3万円(図書カード)を贈呈いたしました.

 

 

★ 優秀賞 ★

流体力学的札幌市

北海道大学: 繁富啓詞,大石義彦,村井祐一

最も創造的・独創的なアイデアを提案し,設定課題に対して高い評価を受けた作品に対して授与いたしました.副賞として賞品2万円(図書カード)を贈呈いたしました.

 

★ アイデア賞 ★

癒しフラッタ

首都大学東京: 江連悠介,安藤正恵,
河合祐輔,的野慎一

最も斬新なアイデアを提案し,流れの面白さ,不思議さを画期的な手法によって表現してくれた作品に対して授与いたしました.副賞として賞品1万円(図書カード)を贈呈いたしました.

 

★ ドリーム賞 ★

FLUID ART

東京工業大学: 高橋秀治,成澤俊輔

最も夢を感じさせてくれた作品に対して授与いたしました.副賞として賞品1万円(図書カード)を贈呈いたしました.

 

第8回 流れの夢コンテスト実行委員会

委員長 松村 昌典 (北見工大)
幹事 坪倉 誠 (北大)
委員 江頭 竜 (旭川高専)
大島 伸行 (北大)
河合 秀樹 (室蘭工大)
小杉 淳 (釧路高専)
白濱 芳朗 (北海道工大)
本村 真治 (函館高専)

特別講演講師

豊田 国昭(北海道工業大学名誉教授)

コンテスト審査委員

第8回流れの夢コンテスト実行委員会委員
流体工学部門第86期広報委員会委員
流体工学部門北海道地区流体工学研究会委員
北海道支部流体工学懇話会会員

支援企業

株式会社 IHI http://www.ihi.co.jp
株式会社 荏原総合研究所

https://www.ebara.co.jp/

株式会社 エルテックス http://e-eltex.co.jp
株式会社 電業社機械製作所 http://www.dmw.co.jp
日機装株式会社 http://www.nikkiso.co.jp
株式会社 日立製作所 http://www.hitachi.co.jp
マツダ株式会社 http://www.mazda.co.jp
三菱重工株式会社 http://www.mhi.co.jp
更新日:2009.1.19