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流れ 2006年1月号 目次

― 2006年度年次大会流体工学部門オーガナイズドセッション ―

  1. 巻頭言
    桑原(荏原製作所)松本(室蘭工業大学)石本(東北大学) 内田(東芝)
  2. 2006年度年次大会流体工学部門オーガナイズドセッション一覧

 

2006年度年次大会 横断セッション:J-13 流体関連の騒音と振動

(1)OSの概要,期待される分野の概略などの募集に関わる情報

  本OSは流体工学部門,環境工学部門と機械力学・計測制御部門の3つの部門が関わる「流体が関連する騒音問題と振動問題」について情報交換を図る目的で実施されるもので,一つの問題を様々な領域の専門家で議論することにより技術開発の方向性や内容を幅広く検討できるように企画しています.従って,機械構造物で流体が関係していれば,どんな問題でも受け付けています.

(2)そのOSに関係する過去のOSの情報,発表内容の例などの情報

  一例として2005年度の本セッションの発表内容を以下に示します. セッションは全部で4つのカテゴリーに分けて活発な議論が行われました:

 1)「円柱と渦」関連

  1. 直列2円柱の流力振動に関する研究(金沢大)
  2. ロックイン振動の振幅に及ぼす渦列による外力の位相の影響(原研)
  3. 直列配列された2円柱の流力振動特性に関する研究(北見工大)
  4. フィン付き円柱からの渦放出に及ぼす螺旋状側板の効果(大分大,久留米工大,川澄化工,ペン州大)
  5. 円柱から放射される空力音に対する乱流の影響(工学院大院)

 2)「管内流れ」関連

  1. 軸対称キャビティで発生する共鳴音の強さの測定(東海大,モンクット王工大,東海大)
  2. ホールトーンに及ぼすタブの効果(九州東海大,矢野特殊自動車,三ツ矢エンジニアリング,佐賀大)
  3. コンプレッサ圧力脈動によるドラムの高周波振動に関する検討(千代田アドバンスト・ソリューションズ,東海ゴム工業,荏原総研)
  4. 軟らかい管が硬い管の非定常流れに及ぼす影響(九工大)
  5. 自動車燃料配管内における脈動解析手法の開発:実車モデルへの適用(富士重工)
  6. 並置スリット状空洞による矩形ダクト内伝ぱ音の低減:最適な並置間隔の検討(中部大,筑波技短大)

 3)「ファン・はく離流れ」関連

  1. 遠心送風機の低流量域不安定流動の抑制:ガイドベーン付き入口環状溝の効果(長崎大)
  2. プロペラファンにおける渦流れ挙動と空力騒音との関係(九大,KPM)
  3. ジェットファンに及ぼす諸因子の影響(長崎大,松下エコ)
  4. シロッコファンの空力性能に関する研究:スクロール形状の比較(ダイキン,長崎大)
  5. はく離せん断流中の渦挙動と空力音の関連性(北工大,自動車研)
  6. 各種柔毛材の空力騒音低減効果に関する基礎研究その5:植毛円柱周りの流れ特性(鳥取大)

 4)「機器・設備」関連

  1. エレベーターの走行騒音に関する研究(東芝)
  2. 大形テンタゲートの複合発散振動に関する3次元大形モデル実験(足利工大,阪電通大)
  3. 舟体と枠組の空力干渉緩和によるパンタグラフ空力騒音の低減効果(鉄道総研)
  4. 流体騒音を誘起するポリゴンミラーの流れ構造に与えるレイノルズ数の影響(都立科技大)
  5. 弾性送水管の内部流に起因した横振動:管下端がばね支持されている場合の非線形安定性(慶大,山形大)
  6. 鉄道レール騒音の低減法に関する研究(ニチアス,鉄道総研)

(3)現在の研究動向の概要

  管内流・すきま流による振動や直交流による管や管群の振動・騒音とそれらによる摩耗の問題,流力騒音等に関する研究発表,さらに管や管群周りの流れと振動,圧力脈動,ゲート振動等の研究も引き続き実施されています.翼やブラフボディの流力振動とその制御に関する研究や弁下流の乱流励振力に関する研究もあります.また,空力音やスロッシング等も継続的に研究されており,スロッシングと流体構造連成問題,およびキャビティトーン等の空力音や流れによる平板・シェルの振動等に関しても多くの研究がみられ,列車のトンネル突入時に生じる圧力波に関する研究も本OSの範囲内です.

(4)OSの講演例としてオーガナイザー自身の発表内容の概略

  例えば,2004年に発表した「大口径エルボ管の流動励起振動に関する研究」は2つの論文として第1報を流体工学的見地から「流動状況と圧力変動特性」の内容で紹介し,第2報を振動工学の観点で「励振力分布と相関分析」として紹介しました.このような内容でなくても,例えば流体を利用したダンパの開発や,弁の騒音問題の対策と効果に関する報告等,様々な問題が本OSでは議論できます.

大阪産業大学 中村友道 (t-nak@mech.osaka-sandai.ac.jp)
更新日:2006.2.6