部門賞

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第95期 (2017年度)流体工学部門 部門賞

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部門賞


石綿 良三(神奈川工科大学)

受賞理由:

 長年にわたり流体工学分野の教育と研究に従事し,多くの技術者の育成と流体工学の発展に顕著な功績を収めた.特に,「楽しい流れの実験教室」を継続的に実施し,その成果を流体工学部門ホームページ等から魅力的なコンテンツとして配信することで,未来の流体工学における若手技術者育成の一基盤を築いた.

受賞のコメント:

 支えてきてくださった多くの方々への感謝を込めて

流体工学部門賞の受賞にあたり、関係各位に改めて感謝申し上げます。流体工学部門を基軸としてのこれまでの活動を振り返りますと、学会に、流体工学部門に、さらにそこでお会いした方々に育てていただいて現在の私があるということを改めて実感しております。

  1988年の流体工学部門の発足時から多数の委員会やWGの活動を経験させていただきました。トピックスだけ列挙しても、洋上セミナー(1990年~1999年)、部門講演会開催(1995年神奈川工科大学、幹事)、流れと遊ぶアイデアコンテスト(1995年~)・流れのふしぎ展(2005年から名称変更、現在まで通算23回、継続中)、部門企画として「流れのふしぎ」(講談社ブルーバックス)出版(2004年)、JSMEテキストシリーズ「流体力学」(2005年)と「演習流体力学」(2012年)の編集主査、流れのふしぎ科学教室(2009年から毎年の年次大会で継続中)、楽しい流れの実験教室(部門HP、2009年から継続中)と続きます。この原稿を書きながら、いろいろな方々から異口同音に「マグロといっしょで常に泳いでいないと生きていけないんだ」と言われてきたことを思い返しています。確かにその通りかと・・・。

  「楽しい流れの実験教室」は2009年から始まり、部門のホームページで実験動画を公開していくという企画で、題材提供は160件を超えるところまで来ました。この企画や「流れのふしぎ展」を続けている背景には流体力学の誤認識が広く氾濫していることがあります。理科教員や科学入門書の著者の中にも誤認識が多いと感じており、このような誤認識を少しでもなくしていくことを使命の一つと考えております。2017年10月公開の中に「ベルヌーイの定理」という解説を入れておいたのもその一つです。

  部門賞受賞という栄誉をいただきましたが、まだまだやり残していることがたくさんあります。これまでご指導いただいた方々、活動を支えていただいたすべての方々に深く感謝申し上げるとともに、今後ともご支援をお願いする次第です。ありがとうございました。

参考:楽しい流れの実験教室 http://www.jsme-fed.org/experiment/index.html

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加藤 千幸(東京大学)

受賞理由:

 長年にわたり流体工学分野の教育と研究に従事し,多くの技術者の育成と流体工学の発展に顕著な功績を収めた.特に,CFDに関する研究とオープンソースコードの利用促進において卓越した業績を挙げた.また,AJK2015をはじめとする国内外の流体工学関連会議で要職を務め,流体工学部門の発展に多大なる貢献をした.

受賞のコメント:

 このたびは流体工学部門賞をいただき、誠に光栄に存じます。ご推薦をいただきました方々を始めとして、関係各位に厚く御礼申し上げます。

  1999年1月に東京大学生産技術研究所(東大生研)に異動してから数年が経った2003年4月に、小林敏雄先生が前年に始められたソフトウェア開発の大型国家プロジェクトを突然引き継ぐことになりました。それから15年近くが経過しましたが、現在でもプロジェクトは続いております。プロジェクトでは、流体解析、構造解析、分子軌道法計算などのさまざまな分野における先端的かつ実用的なアプリケーションソフトウェアの研究開発を進めてきましたが、プロジェクトの統括に加えて、自身でもFrontFlow/blue(FFB)とよばれるLarge Eddy Simulation(LES)用ソフトウェアを開発してきました。FFBは乱流境界層の内層の渦まで計算格子で直接解析すること狙ったソフトウェアです。学問的には難しいことはなく、単に、解像すべき渦のスケールを明確にして、数値的な誤差が少ないスキームにより、そのスケールの渦をきちっと解像するだけの話なのですが、実際の流体関連製品に適用しようとすると、乗り越えないといけない障害がいくつかありました。5年ほど前に約320億の計算格子を用いて全長約5 mのモデル船の境界層を完全に解像した計算を行い、曳航水槽試験と同程度の精度で推進抵抗の予測が可能であることを示すことができました。研究できる期間もだんだんと短くなってきましたが、なんとか在職期間中に数値曳航水槽や数値実車風洞を実現すべく、研究開発を続けています。

 今回の受賞理由の一つに、「CFDに関する研究とオープンソースコードの利用促進」ということが挙げられていますが、決して小職一人の力で続けることができたのではなく、協力して下さった多くの仲間や、多大なご理解とご支援をいただきました産業界の多くの方々のお陰です。この場をお借りして御礼申し上げるとともに、皆様方の益々のご発展を祈っております。ところで、FFBは日立の機械研(当時)で開発してきたLES3Dというソフトウェアを基にして開発されたものですが、それができたのは、日立機械研の元上司の飯野利喜氏(飯野さん)の寛大なお取り計らいがあったからです。残念ながら飯野さんは2006年10月28日に59歳の若さでご逝去されましたが、ご存命中のご厚誼・ご高配に対して厚く御礼申し上げます。

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佐野 正利(千葉工業大学)

受賞理由:

 長年にわたり流体工学分野の教育と研究に従事し,多くの技術者の育成と流体工学の発展に顕著な功績を収めた.特に,後向きステップを有するチャネル乱流の制御,管路の熱伝達測定,境界層制御に関する研究において卓越した業績を挙げた.また,EFDワークショップの運営を通じて部門の活性化に多大なる貢献をした.

 受賞のコメント:

 この度は,栄えある日本機械学会流体工学部門賞を賜り,たいへん光栄に感じています.

 私を教育・研究の道に導いて下さった恩師,学会活動をとうして多くのご指導とご教示をいただいた諸先生方,研究をともにしてくれた大学院生・学部生に心より感謝申し上げます.

 東京都立大学大学院の修士課程修了後,平山直道先生の研究室にて助手として勤務する機会を与えていただいたことが,私の教育・研究活動のスタートとなりました.研究室では動力工学,環境工学,真空工学など幅広い分野の研究が行われていましたが,私は「乱流境界層の制御」に関する研究に取り組むことになりました.当時は,乱流中の組織構造の発見,乱流モデルの発展,科研費の大型予算による乱流現象の解明と制御など,乱流研究が飛躍的な進歩を遂げている時期にあたりました.若い時期に奥深い研究テーマに巡り合い,活気に満ちた学会の刺激的な雰囲気を身近に感じることができことは大変貴重な経験となりました.学位取得後は小山高専,長岡技科大,千葉工大と所属が変わりました.実験主体の研究をしていたこともあり研究室の立ち上げには苦労をしましたが,いずれの所属先においても良き上司,同僚に恵まれるとともに,学生の皆さんの努力によって早期に研究体制を整えることができました.また,この期間は部門に設置された「せん断乱流の制御調査研究分科会」(主査:木谷 勝先生),「実験流体力学調査研究分科会」(主査:本阿弥眞治先生),「マイクロEFD調査研究分科会」(主査:大坂英雄先生,山下新太郎先生)に参加させていただき,その分野を先導されている先生方の最先端の研究を直接聞く機会に恵まれたこと,世界的な研究動向をいち早く知ることができたことなど,研究領域の拡大や新規テーマの策定に繋がりました.部門賞の業績に挙げていただいた「後向きステップ流れの制御」,「管路の熱伝達」に関する研究は,分科会活動で得た情報や討論が研究推進の原動力になりました.若い研究者・技術者の方は,ぜひ学会を積極的に活用してほしいと思います.

 最後になりましたが,私を育ててくれた流体工学部門,推薦をしていただいた先生方に感謝申し上げるとともに,今回の受賞を機に流体工学部門の皆様のお役に立てるよう一層務めてまいりたいと考えております.今後ともよろしくお願い申し上げます.

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早瀬 敏幸(東北大学)

受賞理由:

 長年にわたり流体工学分野の教育と研究に従事し,多くの技術者の育成と流体工学の発展に顕著な功績を収めた.特に,流体計測融合シミュレーション手法を世界に先駆けて提案し,実現象流れ解析技術の確立と生体内血流解析に応用する研究において卓越した業績を挙げ,流体工学部門の発展に多大なる貢献をした.

受賞のコメント:

 この度は流体工学部門賞という大変名誉な賞を賜り,大変光栄に存じます.私を研究の道に導いて下さった恩師,さまざまな機会に議論をさせて頂いた同僚や研究者の皆様,研究の推進に多大な協力を頂いた大学のスタッフの皆様、一緒に研究を進めてきた研究室のメンバーに心より感謝申し上げます.またご推薦下さいました皆様に厚く御礼申し上げます.

  昭和52年に卒研生として名古屋大学工学部機械学科の伊藤忠哉教授の研究室に配属されたのが流体工学との出会いでした.研究室名は機械制御研究室,研究内容は流体工学というユニークな研究室でした.卒業研究では油圧管路の動特性解析を,修士研究では,サイクロン分離機の不安現象の研究を行いました.昭和55年に修士課程を修了し,同研究室の助手に採用されました.研究テーマは旋回流中に発生する渦流崩壊現象の研究で,昭和62年に博士論文として纏める事が出来ました.昭和63年から1年半,米国カリフォルニア大学バークレー校に客員研究員として滞在する機会に恵まれ,R. Greif教授,J.A.C. Humphrey教授とモーターを模した溝付き回転二重円管内の流れと熱伝達の数値解析の研究を行いました.帰国後の平成2年に東北大学流体科学研究所に助教授として赴任しました.非線形振動が専門の林 叡教授との出会いにより,コラプシブルチューブの非線形振動による血圧測定のモデル化の研究を行い,生体工学との出会いがありました.この頃に,実験計測データを数値流体解析にフィードバックする計測融合シミュレーションのアイディアを得ました.これは制御工学の分野では広く用いられている考え方です.正方形管路内の乱流場や角柱後流のカルマン渦列に適用したところ,数値解析の収束性や解析精度か改善され,外乱を含む実現象の流れ解析に有効であることが分かりました.平成12年に教授に昇任し,平成15年に設置された流体融合研究センター在籍中は,医療分野での超音波計測と血流解析の融合の研究を行いました.

 これまでを振り返ると,様々な人との出会いがあって,ある分野の常識は別の分野では非常識(良い意味で)ということを何度も経験しました.専門分野を深めることと,分野の枠を広げることの両方が大切なのではないかと常々感じています.最後になりましたが,流体工学部門のこれから益々の発展をお祈り申し上げます.

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矢野 猛(大阪大学)

受賞理由:

 長年にわたり流体工学分野の教育と研究に従事し,多くの技術者の育成と流体工学の発展に顕著な功績を収めた.特に,気液界面における蒸発や凝縮をともなう気体の流れの研究において卓越した業績を挙げた.また,流体工学部門の活動に積極的に参画し,流体工学部門の活性化に多大なる貢献をした.

受賞のコメント:

 このたびは第95期日本機械学会流体工学部門賞受賞の栄誉を賜り、誠に光栄に存じます。このような身に余る賞をいただき、ご推薦下さいました方々ならびに流体工学部門の皆様には感謝の念に堪えません。心より御礼申し上げます。

  気液界面における蒸発あるいは凝縮をともなう気体の流れを、分子運動の統計力学的非平衡性の観点から解き明かそうとする研究の歴史は古く、J.C.MaxwellによるMaxwell分布の発見(1859年)、L.E.BoltzmannによるBoltzmann方程式の提出(1872年)から時をおかずに、Hertz(1882年)やKnudsen(1915年)による先駆的かつ本質的な研究が始まっています。その後100年以上にわたって多くの研究成果が蓄積され、日本機械学会においても諸先輩方が優れた御業績を残して来られました。このような重要な問題へのわたくしの小さな取り組みを評価いただき、栄誉ある賞を受賞できましたことは、この上なく幸運なことだと思っております。

  また、2013年の日本機械学会の部門統合型の新学術誌4誌(Mechanical Engineering Reviews, Mechanical Engineering Journal, Mechanical Engineering Letters,日本機械学会論文集)の立ち上げに、一委員として関わらせていただきました。学会の最重要事業のひとつである学術誌の創刊ならびに刊行をお手伝いできたことは非常に有難いことであり、加えて、学術誌へのわたくしの微力な取り組みが流体工学部門の発展に寄与するものと評価されたのであるならば、とても嬉しいことでございます。

 あらためて皆様への感謝を申し上げたいと思います。本当に有難うございます。

更新日:2017.12.26