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曲がる川の二次流れと堆積

まずは見てみよう!

どんな実験?

実験手順と種あかし

(以下の説明は以前公開した「曲がる川での堆積」とほぼ同じ内容です)

  • 曲がる川での堆積」で二次流れの説明をしましたが、その様子を観察してみましょう。
  • 水面に細かく切った紙を浮かべてみると、水面では外側に移動していくことがわかります。
  • 一方、水につけておいた紙を水の中に入れると沈み、内側に移動していきます。
  • 大雨のときは土砂が混じった濁流になりますが、これらの土砂はどこに堆積するのでしょうか?
  • 曲がる川の流れの速さ2」や「曲がる川の流れ」で説明したように、曲がり部では外側ほど圧力が大きくなっています。
    また、底に近い所では、粘性のはたらきによって流れが遅くなっています。その分だけ遠心力が小さくなります(なお流体力学では、曲がり部の流れや回転する流れを扱うときにしばしばその流体粒子に乗って現象を観察する場合(回転系)があります。ここでもそのように考えて見かけの力、遠心力を使って説明しています)。
  • 一方、底から離れた上層部では粘性のはたらきが弱く、速く流れています。そのため、底付近の流れよりも大きな遠心力がはたらきます。
  • このとき、底に近い所では遠心力が小さいため外側の高い圧力に押されて内向きの流れができます。逆に上層部では遠心力が大きいので外向きの流れができ、図の赤い線で示すような循環する流れができます。
  • 全体の流れ(主流)としては川に沿って下流に進むのですが、この流れと垂直な方向の流れの成分ができることになり、このような流れを二次流れといいます。水に沈む細かい紙きれはこの流れによって内側に移動して堆積します。実際の川でも同様です。また、曲がりがきつい(急な曲がり)ときには、内側の下流域でゆるやかな逆流が発生(はく離)してさらに堆積しやすくなる場合があります。
  • 曲がりが続くと、二次流れの影響によって内側の流れが遅くなる場合もありますので、【発展】で補足説明します。
  • この実験動画はJSPS科研費 18K03956の助成を受けて制作しました。
【発展】

曲がり部の流れでは「外側で遅く、内側で速くなる」が基本ですが、実際の川では水深、地形、川底の起伏、二次流れ、はく離などさまざまな影響を受けて「外側で速く、内側で遅く流れる」領域ができることがあります。水深の影響については、「曲がる川の流れの速さ2」の【発展】で説明していますので、ここでは二次流れとはく離の影響について説明します。

曲がる川では二次流れが発生し、底付近の流れは内側に移動していきます。底付近では粘性摩擦の影響を受けて流れが遅くなっていますが、曲がりがずっと続くとこの遅い流れが内側に移動して内側部分が低速になります。ただし、このように二次流れによって内側を遅くする効果が見られるのは、本実験動画のように180°向きを変えるとか、あるいは90°向きを変えるというような曲がりの角度が大きい場合、かつ曲がりがきつい(急な曲がり)場合であり、実際の川ではここまで極端な曲がりの例は少ないと考えます。

また、曲がりが終わる所では、内側で低圧となっていた流れが元の圧力へと上昇していきます。そのため、内側の流れが減速し、その分全体の流れが外側に寄っていくという傾向が見られます。このような場合は、内側で遅く、外側で速く流れることがあり得ます。本実験動画でも曲がりの終わりあたりの内側とその下流域で紙切れが堆積している領域では低速になっています。さらに、曲がりがきつい(急な曲がり)の場合には、この低速域で逆流が起こることがあり、はく離と呼ばれています。

【キーワード】 二次流れ
【関連項目】

曲がる川の流れの速さ2曲がる川の流れ茶葉を集める遠心力

【参考】 日本機械学会編「流れのふしぎ」講談社ブルーバックス、P60-61.
日本機械学会編「流れのふしぎ」講談社ブルーバックス、P151-152.

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更新日:2019.4.1