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ねらった所に落とす1

まずは見てみよう!

どんな実験?

実験手順と種あかし

  • 水の中にプラスチック球を沈め、ねらった所に落とします。
  • 使うプラスチック球は、おもちゃのエアガンの弾で直径6mm、質量0.12gです。ピンバイスで深さ1mmくらい、直径2mmくらいの小さな穴を開けておきます。これを水に入れるとそこに気泡が残ります。平均密度(密度=質量÷体積)が水より少しだけ大きく(ゆっくり沈むように)、できるだけ水の密度に近づけておきます。このようにしておくと、プラスチック球が沈む速さ(沈降速度)が非常に遅くなります。
  • このとき、レイノルズ数Reが非常に小さくなって粘性の影響が強くあらわれて、球の後ろ側にはく離渦ができなくなります。レイノルズ数Reは次の式で計算できます。
    Re = U L /ν
    ただし、Uは沈降速度[m/s]、Lは代表長さ[m](基準となる寸法、球なら直径)、νは流体の動粘度(常温の水であれば、およそ10-6 m2/s )です。
  • レイノルズ数Reが約1以下であれば粘性の影響が非常に強くなり、はく離渦は発生しません。また、約10以下でも、非対称なはく離渦ができず、あまりゆらゆらしません。
  • この動画の条件では、Re<約10となっていて球の動きはゆらゆらせず、まっすぐにねらった所に落ちたものと思われます。
  • 物体をまっすぐに沈める方法の一つは、物体の平均密度を液体の密度に近づけて、沈降速度を非常に小さくすることです。
  • この実験動画はJSPS科研費 18K03956の助成を受けて制作しました。
【キーワード】 はく離渦、密度、レイノルズ数
【関連項目】 ねらった所に落ちないねらった所に落とす2
【参考】 日本機械学会編「流れのふしぎ」講談社ブルーバックス、P16-21.
石綿良三「図解雑学流体力学」ナツメ社、P28-29.

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更新日:2020.2.1