部門賞

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第96期 (2018年度)流体工学部門 部門賞

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部門賞


羽二生 博之(北見工業大学)

受賞理由

 長年にわたり流体工学分野の教育と研究に従事し,多くの技術者の育成と流体工学の発展に顕著な功績を収めた.特に,渦放出の過渡現象や流力振動現象など非定常流動場の特性解析,および流体工学を応用した自然災害観測および防止技術の開発などで多数の卓越した業績を挙げた.

受賞のコメント

 LDVや画像処理手法を用いた渦生成や渦合体等に関する流体過渡現象の研究を評価していただき光栄に存じます。 予算の無い中、LDVの自作、マシン語やC言語によるデータ処理および画像処理の高速化、さらにはPCを用いた安価なスペクトラムアナライザーの自作等に多くの時間を費やして研究を進めてまいりました。 また、電子工学や極地観測と言った異分野の研究者と共同で、科研費が採択されやすい、「画像処理による防雪柵周りの吹雪粒子濃度の計測」、「GPSを用いたバーチャルビジョン知床除雪支援システムの開発」、「衛星レーダー画像を用いたオホーツク海の流氷移動観察」や「G PS誘導空撮機による農地や釧路湿原の赤外線空撮」と言った流体以外の研究も行い、それらで得られた画像処理や電子制御的なノウハウおよびリソースを流体過渡現象研究にも活用してきました。 さらには、NHK学生ロボコンに出場するチームオニオンを15年ほど指導してきたことで、彼らの一部が私の研究室に配属となり研究環境の電子化やIT化に大きく貢献してくれました。

 大学研究費の削減が進む今日ですが、若い研究者の方達は、少ない予算でも創意工夫によって研究環境をコツコツと整備して、研究成果を上げられることを期待致します。 また、産業構造において色々な科学分野の複合化が急速に進んでおり、狭い研究分野だけでは産業界が求める人材の育成や研究費の確保が困難となって来ておりますので、異分野融合型の研究テーマに積極的に取り組んでいただきたいと思います。 

 退職も近づきましたので、若い方達に日本の科学技術と産業の発展への貢献を託したいと思います。

部門賞


船崎 健一(岩手大学)

受賞理由

 長年にわたり流体工学分野の教育と研究に従事し,多くの技術者の育成と流体工学の発展に顕著な功績を収めた.特に,タービンを中心とした各種ターボ機械の性能向上に関する研究において,数値シミュレーションおよび実験解析の両面から精力的に取り組み,多数の卓越した業績を挙げた.

受賞のコメント

 この度図らずも流体工学部門から部門賞を頂戴することとなり、大変驚くとともにこのような栄誉に浴することに感激しております。ご推薦、ご選考頂いた学会関係者の皆様に深く感謝申し上げるとともに、研究活動を支えてくれた研究室の学生の皆さんや岩手大学の教職員の皆さんにも感謝いたします。

 学生時代にはタービン翼列でのwake干渉に関する理論的・数値的な研究を行い、現在でもその延長線上で数多くの仕事をさせて頂いております。特に最近では、航空エンジン用低圧タービンの高負荷化・高効率化とwake干渉効果やwake変形効果が深く関係していることが明らかとなり、流入するwakeを模擬できる翼列風洞による詳細な流れ場計測を相当数の翼列に対して実施し、低圧タービンに関する新たな設計空間の探索を勢力的に進めております。学生時代の数値的解法は、翼枚数比の影響を正確に評価できるという利点を有し、非粘性、非圧縮、二次元流れという制約はあるものの、現在でも有益な方法であると考えていますが、多くの制約があるためスパッと見切りを付け、研究手法としては実験に大きく舵を切って今日に至っております。その間、汎用コードをPCクラスタ上で比較的大規模に実施出来る環境を得ることができ、加えて、山田和豊氏(現岩手大学准教授)のご協力を得ながら、高精度三次元非定常解析にも取り組むことができたことから、実験と数値解析を高レベルに融合させた研究が展開出来ていたと自負しております。

 ガスタービンエンジンでのタービンは高温状態で作動することから、タービン翼まわりの熱伝達の正確な予測と効果的な冷却技術の開発が重要な研究課題であり、この方面でも多くの研究を行っております。日本機械学会では、wake干渉が熱伝達やフィルム冷却に及ぼす影響を定量的に予測するための実験及びCFDに関する研究を発表しており、世界を先導する研究も行えていたと考えております。

 ターボ機械に関する流体工学を中心に研究を続けてきましたが、新たな時代の到来とともに、研究のレベルアップとより複雑で学際的な取り組みの必要性を痛切に感じております。私に出来ることは限られておりますが、ベースラインをしっかり守り、若い研究者の皆さんが安心して新たな課題に取り組める様にすることがこれからの私の役目の一つであると考え、今回の受賞を励みに今後も努力する所存です。今後とも宜しくお願いします。

部門賞

長谷川 豊(名古屋工業大学)

受賞理由

 長年にわたり流体工学分野の教育と研究に従事し,多くの技術者の育成と流体工学の発展に顕著な功績を収めた.特に,風車周りの流れ場と構造体の連成解析や次世代風車の開発などで多数の卓越した業績を挙げた.また,流体工学部門にて要職を積極的に務め,流体工学部門の活性化に多大なる貢献をした.

部門賞


須賀 一彦(大阪府立大学)

受賞理由

 長年にわたり流体工学分野の教育と研究に従事し,多くの技術者の育成と流体工学の発展に顕著な功績を収めた.特に,多孔質体内部流れ場の格子ボルツマン法による数値解析および実験的可視化解析により燃料電池技術の高性能化へ道を開くなど,多数の卓越した業績を挙げた.

受賞のコメント

 この度は,日本機械学会流体工学部門賞を賜り,大変光栄に存じます.ご推薦を頂いた先生方,関係各位,ご指導を受けた先生方,一緒に研究に取り組んで頂いた共同研究者ならびに大阪府立大学の研究室の学生諸氏に深く感謝申し上げます.

 今回評価していただきましたのは,多孔体の内部流れや界面流れに関する数値解析とPIVによる可視化計測実験に関する一連の研究です.多孔体材料は燃料電池の拡散層や触媒の担体に広く用いられますが,その内部や界面での流動機構がどうなっており,それが多孔体の構造パラメーターによってどのように影響を受けるかは,よくわかっておりませんでした.そこでそれらを解明することで,燃料電池セパレータ内流れのような多孔体内部や界面の流れを多孔体構造によって制御する指針を見出せるのではないかと考え,2006年の大阪府立大学への着任を機に,一連の研究を始めました.実験からは燃料電池内部に見られるような多孔体界面では,レイノルズ数が1000以下でも乱流化するケースがあること,多孔体の構造パラメーターの透過率が流動特性を決め,特に流れ方向の透過率成分がそのスケーリング・パラメーターになることなどを確認しました.また,数値解析では複雑な固体境界内流れに定評のある格子ボルツマン法に着目し,高レイノルズ数においても安定に精度よく解析できる手法の開発を経て,多孔体内外流れの大規模なDNSやLESを行い,現象の理解に努めました.さらに,これらの解析データに基づいて乱れの時間・空間二重平均輸送方程式のモデル化に取り組み,k‐εモデルやレイノルズ応力方程式などをベースとした多孔体乱流モデルの提案を行ってきました.

 周知のように現実の工学装置の壁面は滑面~粗面~多孔面のどれかに相当しますが,その界面の流れにはそれぞれに不明のことが多く残されており,後者に行くにしたがって課題が増えます.設計者の視点に立てば,きれいな壁面だけに適用できる指針だけではなく,目の前にあるものへの設計指針が望まれることは明白であります.その観点に立てば,役に立つ研究ができたとは,まだまだ言えず,本受賞を励みとして,今後も産業応用の設計指針を提供できるような流体工学の研究をさらに進めていきたいと考えております.

部門賞


大島 伸行(北海道大学)

受賞理由

 長年にわたり流体工学分野の教育と研究に従事し,多くの技術者の育成と流体工学の発展に顕著な功績を収めた.特に,流体の数値シミュレーション解析において顕著な業績を挙げた.また,流体工学部門の活動に積極的に参画し,流体工学部門の活性化に多大なる貢献をした.

受賞のコメント

 このたびは、流体工学部門より部門賞のご推薦を下さりありがとうございます。本部門には2005年フロンティア表彰に重ねての栄誉を頂戴し大変嬉しく光栄に存じます。その間ご一緒にお仕事をさせていただいた方々には、坪倉誠先生(神戸大学)が本部門フロンティア賞(2017)、寺島洋司先生(北海道大学)が燃焼学会奨励賞(2016)、高橋裕介先生(北海道大学)が機械学会奨励賞(2017)など多くの業績・評価を挙げておられ、また、数値フローデザイン社・張会来様はじめ企業、産業界の方々にもシミュレーション・ソフトウェアの開発・実証と普及に多大なご尽力をいただきました。この度の部門賞授賞にはそれら方々の成果のお陰と存じ、いくらかなりとも貢献できてあれば幸いです。専門といたします数値シミュレーション分野においてはポスト「京」のための新PJが立ち上がり、また、AI、IoT、ビッグデータなど新しい潮流も迫りつつある(あるいは、すでに中にいる)ところ、これからの世代の皆さんによる新しい発想、新しい力にて道が切り拓かれることと信じます。その発展のため、なるべく広く、高いスペースを空けて待つことが先任者の務めとして今しばらく働きたく、栄えある受賞にあたっての所信といたします。私のエキセントリック(的外れ)な言動にここまでお付き合いを下さり、温かいご支援を続けていただきました皆様方に感謝とお礼を申し上げます。

更新日:2019.10.30